かぎ針編みの長方形を、やっと納得いく形で編めるようになった気がする。この間からずっと編んではほどき、編んではほどきしている、文庫本を持ち運ぶためのケースの底面の話だ。
編んだものをほどいてやりなおすこと自体は、そう苦にならない。問題はほどいてやりなおすたび、糸がびよびよと波打ってきてしまうことだ。
この、編んだものをほどいて、びよびよになった糸を量産することを、俗に「製麺」と呼ぶらしい。なるほど、この縮れ具合、確かに拉麺だ。
この製麺された糸は、再び編み始める前にスチームをあて、伸ばして乾かすとまっすぐに戻ってくれるそうだ。が、私はあまり気にせずに拉麺のまま編み直してしまっている。見た目も編み心地も、そう妙なことにはなっていない。今のところは。
気温が10度を超える日が増えてきて、ダウンコートを仕舞う頃合いを見計らっている。
今のダウンは古着として四千円くらいで買ったものだが、ものすごくモコモコで、ものすごく温かい。冬の一番寒い時期でも、薄いシャツの上にこれを羽織れば、いくらでも外を散歩していられるほどだ。
ただ古いものであるせいか、着ているはしからピヨピヨと羽毛が飛び出してくる。こんなに羽が抜けてしまって大丈夫なのかしらと冬中うっすら気を揉んでいたが、ワンシーズンかけて着通しても、まだモコモコ具合と温かさが損なわれた様子はない。ひと安心だ。
そもデザインをとても気に入っているので、このモコモコが失われてしまった暁には、かわいい薄手のコートとして着続けてゆきたいと思っている。
ダウンとしての機能が失われることを「暁には」というのも妙な話だが、「お気に入りの服の、念願の第二形態」という意味では、まあ間違ってはいないだろう。
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