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2025年|なんだか楽しいお祭りに参加した時期があったな

ウォンバットやしろさんが企画されたアドベントカレンダー、「一次創作イベント・合同誌主催や創作者に寄与する活動をしている人が1年を振り返る Advent Calendar 2025」に寄せて。

やまおり亭と申します。小説やエッセイを書きつつ、オンラインで「紙本祭」というオリジナル紙の本&紙もの即売会を主催したり、東京は吉祥寺で「招文堂」という文芸同人誌に特化したシェア型本屋の主催をしたりしています。

2025年にやったこと

紙本祭7|オリジナル紙の本&紙ものマーケット主催

だいたい年に一度、11月の頭に開催しているオンラインイベント。

オリジナルの同人誌や紙もの雑貨、ペーパークラフト、原画等を販売する作家さんが集まるお祭りです。

紙本祭WEBページ

2025年もオンライン即売会サービス「ピクリエ」様を会場として使わせて頂きました。

2Dマップ上の会場を、これまた2Dのアバターで歩き回ってお買い物ができるサービス。会場内のチャットやエモーティコンで交流をすることも可能で、自宅に居ながら、PCやスマートフォンでイベントを楽しめるのが魅力。

ここ数年はピクリエ様を贔屓しがちなやまおり。痒いところに手が届く細やかな仕様のアップデートがあるだとか、お品書きページの設定がしやすいとか……理由は様々あれど、私がぐぐっとピクリエ様に傾いた大きなポイントがひとつあります。

それは、アカウント取得時に生年月日を記入する必要があり、未成年は成年向け作品取り扱いサークルを閲覧できないという仕様が存在すること。

この仕様によって、サークルさんの設定ミス、および主催の情報の周知不足による、「未成年がうっかり成年向け作品を閲覧・購入してしまう」という事故がかなり減ります。オンラインイベント主催と参加者各位が大変に気を揉み、トラブル防止にリソースを裂いているだろう課題の、大幅な処理負荷軽減

ひとり主催ゆえにリソースの限られているやまおりは、ココでピクリエ様に惚れました。いつもお世話になっています。

最々初期の「イベントページが重すぎて会場に入れない&アバターが動かせない」問題もかなり早期に解決され、どんどん機能改善が入り、日々使いやすくなっているピクリエ様。今オンラインイベントを開きたい方に相談されたら、やまおりが一番におすすめするサービスですよ。

イベントの細かい振り返りはこちらの記事にまとめています。今回は久々に、イベント参加者さんを対象としたアンケートを実施。

紙本祭7|ご参加のお礼_ふりかえりと次回の予定

諸々の事情からアンケートを取りやめていた紙本祭ですが、やはり参加者さんの生の声を聞けるのはいいものですね。主催の気づいていなかったポイントをそっと教えてくれる方もおられて、大変ありがたい…! ご声援もご意見も、どちらもすごくうれしかったです!

紙本祭8は2026年10月31~11月1日で開催!

来年、2026年の紙本祭8も、ピクリエ様での開催。

ハロウィンをまたぐ開催ということで、今回は夜スタート、翌夕刻に終了としています。

紙本祭8|オリジナル紙の本&紙ものマーケット(@ピクリエ様)

年末年始にサークル参加募集を開始する予定ですので、ピクリエ様のイベントページを「お気に入り」登録してお待ちいただけると嬉しいです!

文芸テーマアンソロジー『おまねき vol.4 まほろし専門店街』発行

東京は吉祥寺にて、やまおり亭は「招文堂」という、文芸同人誌に特化したシェア型本屋を運営しています。

そのシェア型本屋にて、年1で刊行している文芸誌、それが『おまねき』です。

vol.4にあたる2025年11月発行誌のテーマは、「●●の専門店」

上記のテーマにそった文芸作品を募集し、今年は23名の作品を「おまねき」することができました。

通販やってます

どんな想いで作っているか、どんなふうに作っているかは、昨年のアドベントカレンダー記事内「文芸テーマアンソロジー『おまねき vol.3 瓶詰めコレクシオン』発行」の項に書かせていただいております。よろしければご笑覧くださいませ。

招文堂が文芸誌を発行するのも、これで4度目。

回を重ねてきただけあり、今回は過去最高のスピードで、参加者さん方への献本作業を完了させることができました!

……編集作業? それは、まだまだ、私なぞは。

ファイルの作り方、表紙のご依頼の仕方、入稿など、そこそこ手馴れてきた作業がないではないのですが……やはり文芸誌の編集作業において、一番大切、かつ比重が大きいのは、各作者さんとの原稿のやりとり&コミュニケーションだと愚考します。

そうなると、もう、私なぞは……本当に、まだまだ。お馴染みの作家さんが相手でも、初めてご一緒する作家さんが相手でも、いつもうんうんと悩み込んでしまいます。

それでもなんとか4回も本を発行できたのは、ひとえに原稿を預けてくださる作家さんがおられるから。それを強く感じたのは、今回の文芸誌の初売りの場、文学フリマ東京41のイベント会場でのことでした。

「●●さんの作品が載っている本はどれですか?」「◇◇さんが新作を書き下ろしたと聞きました」など、原稿をお寄せくださった作者さんを名指しで『おまねき』を買いにきてくださる方が、これまでになく多かったのです。

文芸誌を販売するとなると、キャッチーなテーマ設定や宣伝などについ頭がゆきがちです。ですが、それらを主宰が頑張ったから……それだけの理由で、本が売れてゆくわけではない。

日頃から招文堂を気にかけてくださる方がいるから。招文堂になら原稿を預けてもいいかなと思ってくれる方がいるから。そして原稿を預けてくださった各作家さんの、地道な日々の活動があるから……そんないろんな方の頑張りが主宰の頑張りを後押ししてくれて、それではじめて、本は売れてゆくのでしょう。

おかげ様で、『おまねき vol.4 まほろし専門店街』は初売りである文学フリマ東京41にて、持ち込み分が完売しました。やったー! うれしい!

ただ、バックナンバーふくめ、在庫はまだまだございます!

2026年1月末まではココで通販やってます し、2026年1月12日開催の「もじのイチ ~おいでよ創作文芸同人誌即売会~ #3」内【イ-03山折書亭】のブースでも販売しております。

2026年2月からは、やまおり亭が在庫を引き継いで販売してゆきますよ。

増刷予定はございませんので、気になる方はおはやめに。

文芸同人誌のシェア型本屋・招文堂を畳みます

やまおり亭が2022年の5月から主催していた文芸同人誌のシェア型本屋・招文堂。このお店を、2026年1月末をもって閉店することといたしました。

閉店のお知らせ

招文堂では、さまざまな文芸同人誌の作者さんが本棚ひと箱ぶんの書店店主となり、自著専門のひと箱本屋を運営しています。棚を貸し出すだけではなく、お店番やイベントの主催など運営面も店主の皆でシェアしているので、「棚貸し」ではなく「シェア型」の本屋。

小さく営んでいた店でありましたが、ほうぼうから閉店を惜しむお声をいただき、ありがたさを噛みしめる日々です。これだけたくさんの方に気にかけていただいていたからこそ、小さな招文堂がここまでやってこられたのでしょう。本当に、ありがたい限りです。

いったいぜんたい、何がどうしてこの店を畳むことになったのかという話は、文学フリマ東京41にて発行したフリーエッセイペーパー『招文堂てんやわんや 来年1月に閉店するシェア型本屋主催の17日間』に記載し、無事完配となっています。

その中から、17日目である11月22日の項を転記し、やまおり亭の来年の展望といたしましょう。

とはいえ招文堂の店舗は2026年1月31日まで空いていますし、通販も同日21時まで注文を受け付け中。

ぜひ最後まで、招文堂を楽しんでいただければ幸いです。

2026年のやまおり亭|『招文堂てんやわんや 来年1月に閉店するシェア型本屋主催の17日間』より

11月22日(土)

 閉店の旨を店のブログで公開し、今、このエッセイを書いている。お疲れ様でした。

 とはいえ来年1月まで店は通常営業だし、そのあとは怒涛のお片付けが待っている。店のポストカードラックや小さなカウンター、大きな本棚の引き取り手を探さねばならないし、もし行くあてがないなら廃棄の手筈を整えなければ。
 やることは山積みである。

 すべてが終わるのは2月末。
 何もかも終わったら、まだ寒さが残っているうちに、温泉にでも浸かりにゆきたいところだ。

 ぜんぶ終わったら何をしよう、と考える。

 とある店主さんに閉店を伝えた折、「やまおりさんはずっと人のお手伝いをしてきたのだから、終わったら自分のために時間を使ってくださいね」という趣旨の言葉をもらった。とても嬉しく、同時に、正直、すこし意外だった。私は自分のやりたいことだけをやり、やりたいようにふるまってきたと思っているからだ。

 夫にこの話をしたら、「全面的にその人が正しい」と太鼓判を押されてしまった。なるほど、岡目八目。そばにいる人のほうが、私よりよほど、私のことを理解してくれているものなのかもしれない。

 ぜんぶ終わったら何をしよう。

 じっくり腰を据えて小説を書いてもいいし、山のような積読を崩すのもいいし、たまに趣味で撮影している手帳やノートに関するyoutube動画の投稿頻度を上げてみてもいいし、去年から編みかけのポットカバーを仕上げてもいい。

 否応なくやってきた人生の転機。くるりと回らねばならぬなら、ここらでひとつ、ひとりきりだからこそできることにこの身を預けてみるのも一興だ。

 こんなふうにあっさりと方向転換できているのは、これまでたくさんの人に支えられ、たくさんの人とかかわりながら店をやってきたからこそだろう。誰かと一緒だと、大きなことができる。できた実績があるから、ひとりでも、ちゃんと楽しく何かをつくってゆけると信じられる。

 そういう自信を、まわりの人々が私にたっぷり注いでくれた。

 やりたい放題やってきた身なので、私が他の人に何か注げたのかどうかはわからない。わからないが、なんだか楽しいお祭りに参加した時期があったな――招文堂のことがそんなふうに、記憶の片隅に残ってくれたら嬉しいなと思う。

 改めて、これまでありがとうございました。
 次は招文堂の主催ではなく、やまおり亭としてお会いしましょう。
 それでは、また。

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2024年から2025年|小さなものを集めていく

ウォンバットやしろさんが企画されたアドベントカレンダー、「一次創作イベント・合同誌主催や創作者に寄与する活動をしている人が1年を振り返る Advent Calendar 2024」に寄せて。

やまおり亭と申します。小説やエッセイを書きつつ、オンラインで「紙本祭」というオリジナル紙の本&紙もの即売会を主催したり、東京は吉祥寺で「招文堂」という文芸同人誌に特化したシェア型本屋の主催をしたりしています。

2024年にやったこと

紙本祭6|オリジナル紙の本&紙ものマーケット主催

だいたい年に一度、11月の頭に開催しているオンラインイベント。

オリジナルの同人誌や紙もの雑貨、ペーパークラフト、原画等を販売する作家さんが集まるお祭りです。

紙本祭WEBサイト

2024年はオンライン即売会サービス「ピクリエ」様を会場として使わせて頂きました。ピクリエ様は、2Dマップ上の会場を、これまた2Dのアバターで歩き回ってお買い物ができるサービス。会場内のチャットやエモーティコンで交流をすることも可能で、自宅に居ながら、PCやスマートフォンでイベントを楽しめるのが魅力です。

紙本祭が発足したのは、コロナ禍によってリアルイベントが収縮し始めた2020年。当初はオンラインイベントそのものの珍しさも手伝ってか、出店スペース数が300を超えることもあるような大所帯のイベントでしたが、最近はリアルイベントの復活とともに、開催規模もほどよい落ち着きをみせています。

ここ2年ほどの出店お申し込み数は、おおよそ100スペース前後。「細々継続」を掲げる紙本祭としては、いい塩梅に収まりつつあるのかも。

ずっとお付き合いくださっている方も、ときどき顔を出してくださる方も、いつも本当にありがとうございます。

開催規模がいい塩梅に収まり、余裕ができたからでしょうか。昨年からのよいご縁が繋がり、図らずも嬉しいお声かけを頂いたこともあって、今年は当日のイベントとゆるやかに繋がる3つの「おたのしみ企画」を同時開催することができました。

架空ストア様「架空のK便鉄道」とのコラボ

委託通販・架空ストア様のキャンペーン「架空のK便鉄道」とのコラボ企画。

「架空のK便鉄道」とは、この企画の対象商品が一つでも注文に入っていれば、架空ストア様での送料と支払手数料が無料となる太っ腹なキャンペーン。

イベント当日から7日間、紙本祭に出店している作家さんの作品を対象とした「K便鉄道」が架空の町を駆け抜けました。

こちらのコラボは昨年から引き続き、2度目の開催。昨年のコラボ企画では、出店者さんからもお買い物をする一般参加者さんからも大変なご好評を賜りまして、架空ストア様がこれまで積み上げてこられた委託通販サービスとしての実績と、作家さん方からの確かな信頼を感じました。

その手ごたえは、今年も変わらず……いえ、昨年にも増して、じんわりふわりと熱量が上がってるような気がしています。

コラボの申し込みやすさ、架空ストアご担当者様からの誠実ながら愛嬌の滲む優しいメール、確実なお仕事、小回りをきかせながらも締めるところはキッチリやってくださるバランス感。そして何より、「架空のK便鉄道さんとコラボしますよ」と公表したときの、参加者さん方からの「やったね」のお声……ついつい、他のイベント主催者さんにオススメをしたくなるのが「架空のK便鉄道」のすごいところです。今年もありがとうございました!

そんな「架空のK便鉄道」ですが、2024/12/27(金)12時までは架空ストア様が主催する特別な便が走っているそう。その名も「夜明けのマッチ売りR6」。特設ページをぜひ覗いてみてくださいね。

「もじのイチ#2」様との連動企画

「もじのイチ~みんなの創作文芸同人誌即売会~#2」というイベントが、2025年1月5日に開催されます。間もなく!

もじのイチ様WEBサイト

紙本祭6では、紙本祭に出店申し込みをなさった方全員に、「もじのイチ#2」様への各種お申し込みに使える500円OFFクーポンを発行するという連動企画を実施させて頂きました。

主催のトオノキョウジ様には、クーポン配布の直前までいろいろとご相談をさせて頂きました。その節は本当にお世話になりました!

関東圏では定期開催されている歴史ある文学系イベントが盛況を極め、めでたいことではありながらも、「私には大きくなりすぎているかも」と感じる方も増えているなか、もじのイチ様は本当に「ちょうどよい」サイズ感のイベントなのではないでしょうか。

連動企画を公表するや否や、紙本祭には「もじのイチさんのクーポンって〇〇にも使えますか?」「もじのイチさん情報はいつ出るのでしょうか」とのお問い合わせが多数。出店者さんサイドの熱量と期待が、とても高いイベントだと感じました。

かくいう私も、個人の「やまおり亭」名義で「もじのイチ#2」に出店予定。どんなイベントになるか、今から本当に楽しみにしています!

そうそう。このアドベントカレンダー企画の存在を教えてくださったのも、もじのイチ主催・トオノキョウジ様でした。今回の連動企画がなければ、私はこの記事を書いていなかったかも……そういった点からも、トオノ様には大変に感謝をしております。

紙本祭6ポップアップストアin招文堂

東京は吉祥寺に、文芸同人誌に特化したシェア型本屋・招文堂という店があります。その招文堂にて、2024年7月13日~8月12日の1か月間、棚を借りまして、「紙本祭6ポップアップストア」を開きました。

紙本祭に関心のある方々から作品をお預かりし、期間限定の店頭販売&通販を行う企画です。

オンラインイベントである紙本祭ですが、開催当初から「リアルではやらないのですか?」とのお声を寄せて頂いていました。あの頃はとても考えられなかったことですが、今の紙本祭なら、あるいは……と、数年前から狙っていたのです。

会場として選んだ招文堂は、文芸同人誌に特化はしているけれど、「棚の半分くらいが文芸なら、それ以外も置いていいよ」としているお店。その規約に甘えて10名ほどを先着順で募集したところ、ありがたいことに文芸と漫画、絵本、イラスト系が半々になるような具合でお申し込みがありまして、無事、紙本祭側でのくじ引きなどを行うことなく皆さんの作品をお預かりすることができました。

とはいえ、店頭に並べるだけでは作品の存在を知ってもらうのも難しいこと。

というわけで吉祥寺の駅前で定期開催されている「ハモニカ横丁中央通り朝市」に作品を持ち出したり……

オンラインイベントらしく、YouTubeにて作品紹介動画を公開したりもしました。

紙本祭としても招文堂としても、何もかもが初めてで手探りだったこの企画。参加者さん方の温かなご声援とご協力があったおかげで、なんとか無事に終えることができました。

文芸同人誌に馴染みのある招文堂の常連さん方や朝市のお客様方が、紙本祭6ポップアップストアの小説やエッセイに目を留めては「あ、新作入ってるね」とニコリとなさり、イラスト集や漫画などを立ち読みなさっては「漫画の同人誌って、コミケで売ってるアニメの本だと思ってたけど、こういうのもあるんだね」と面白そうに眺め、買っていってくださったのが印象的でした。

そう、こういうのも、たくさんあるんですよ。

文芸テーマアンソロジー『おまねき vol.3 瓶詰めコレクシオン』発行

さて、先述した「招文堂」。実はやまおり亭の主催するもうひとつの場であります。(だからこそ、紙本祭6ポップアップストア企画のなんと進めやすかったことか!)

改めてご紹介いたしますと、招文堂は東京・吉祥寺駅から歩いて8分ほどの場所にある、文芸同人誌に特化したシェア型本屋です。

さまざまな文芸同人誌の作者さんが本棚ひと箱ぶんの書店店主となり、自著専門の本屋を運営しています。棚を貸し出すだけではなく、お店番やイベントの主催など運営面も店主の皆でシェアしているので、「棚貸し」ではなく「シェア型」の本屋。

この招文堂が年に1冊発行している文芸テーマアンソロジーが、『おまねき』です。2024年、vol.3のテーマは「瓶詰」で、総勢23名の作家さんが集まってくださいました。

https://www.shobundojinshi.com/product/-vol-3-/148?si=true

招文堂は「文芸同人誌」に特化した「シェア型」本屋。まだまだ一般的ではない単語を説明文に2つも抱え込んでいる上、店があるのは駅から少し離れたマンション2階の、奥の奥。屋内に据えられたパン焼き小屋の向かいに位置する、ちょっと得体の知れないお店です。

得体の知れない店にいきなり飛び込むのはハードルが高いけれど、どんな人たちが何をしているのかちょっとだけ覗いてみたい。もしくは文芸同人誌を作ることに興味があって招文堂を訪ねてみたはいいけれど、いきなりひとりで1冊の本を作り上げるのは難しそう……そういった方々を招文堂に、そして「文芸同人誌制作」という楽しい世界へ“お招き”する方法のひとつとして、アンソロジー『おまねき』の企画は立ち上がりました。

同好の士=いま招文堂に関心を寄せてくれている人たち

『おまねき』は寄稿者さんに参加費を頂く代わり、完全公募制を採用しています。印刷して世に出す以上、作品内容にかんしてある程度の制約やお願いごとはありますが、招文堂が書き手を選ぶことはありません。

そもそも「文芸同人誌」は――今でこそ個人でも作れるようにはなりましたが――本来は「同好の士が集まって作る本」です。店の看板にこの言葉を使わせてもらっている招文堂がアンソロジーを作るからには、ただの傑作選ではなく、同好の士が集まって作る一冊にしたい。

となれば場を主催しているだけの「やまおり亭」が掲載作品の方向性を強く打ち出したり、作家さんを選んだりすることで、他の方々の表現を邪魔してしまっては本末転倒。しかし、何かしらの基準がなければ同好の士を集めることもできない……

ぐるぐると考えた末、「今『招文堂に関心を寄せてくれている人たち』は、つまり『同好の士』と言って差し支えないのではないか」――そんな結論にたどり着きました。『おまねき』を「今、招文堂に関心を寄せてくれている人たちの作品を紹介する本」として作っていくことにしたのです。

書き手を選ばないかわり、預かった原稿をできるだけ「作者さんのやりたいことと矛盾しない範囲で、文芸作品として多くの人が読み通せるもの」にしていく作業については、手を抜かないようにしようと決めました。

具体的には、お預かりした初稿をやまおりが拝読し、文章内の誤字脱字/語の誤用/論理や展開の矛盾など「表現したいことが意図せず阻害されていそうな部分」を可能なかぎり解消していけるよう、指さし確認としてのチェック稿を作成。そのチェック稿を寄稿者さんそれぞれとやりとりしながら、入稿用の原稿を仕上げていきます。

間違いの指摘ではなく、あくまで「この語は意図したとおりに機能していそうですか?」とお伺いを立てるような気持ち。ちょっと口を出し過ぎかしらと思い悩むこともありますが、しかし、それでも。一度「これって作者さんの意図どおりに読まれないかも」と気づいてしまったら、面倒でも、気が引けても、例えお叱りを受けたとしても指さし確認をすることにしています。

指さし確認にこうもこわだっているのは、私がただの「主催」というシステムではなく、自分でも文章を書いている「やまおり亭」という人間だからなんでしょう。アンソロジーの主催と寄稿者という関係ではなく、ものを書く人同士として、原稿を寄せてくださる方々と向き合えていたらいいなと思っています。

個人主催の、いい塩梅

ここ数年で、いくつか「表現のための場」を主催してきました。大規模なものだと参加者さんは300名超え。小規模なものだと10名ほど。50名前後のものも、ちらほらと。

どんな規模の場に対しても、おなじだけの熱量でもって取り組んでいたつもりです。つもりでしたが、規模が大きくなればなるほど、どうしても個人では手が回らなくなり、取りこぼしてしまう部分が出ていると感じていました。

でも、取りこぼすってなんだろう? 私はいろんなものを抱えこんでいる気になっているけれど、本当にこれって私の持ち物なのかな?

そんなことを考えるようになった2024年の終わりごろ、ようやく気づいたことがあります。どうやら私は、自分で思っているよりもずっと、「小さなもの」が好きみたいなんです。

小規模にものを作っている出店者さんがたくさん集まって、イベントが開催できると嬉しい。小さな文芸同人誌の書店店主さんが集まって、ひとつの店になっていると嬉しい。ひとりで大きなものを抱えるんじゃなくて、小さなものをたくさん集めて、大きなものにしたいタイプなのかも。

私はもとより我侭で傲慢。読みたい本がないからと自ら筆をとり、出たいイベントがないからと自ら主催をしてしまうような、よくばりな人間です。

たくさんの方々から力をもらって、そのよくばりの方向性に気づくことができた。初心に立ち返って、小さなものがたくさん集まってくれる楽しみを、もっと思うがままに、皆と一緒に味わっていこう。そう思えた一年でした。

例えば次回の企画を考えるなら、ひとりで出来る限りに頑張るのではなくて、まわりにいる人たちの力を意識的に借りてみよう。そうすればきっと、何か新しい形が生まれるだろうな。

例えばイベントに問い合わせが来たら、主催と参加者ではなく、ものを作っている私とあなたとして、いつもの私が誰かと向かい合ったときのように会話をしてみよう。そうすればただQにAを返すだけではなく、お互いの考えていることを知った上でのよりよい答えを探せるかもしれないな。

こんなふうに思い直せたのは、ここ数年でたくさんの「表現する場を営む人たち」に出会えたのも大きいと感じています。その人たちの考えることを読んだり聞いたり、時には直接言葉を交わしたりする中で、自分が自分のために、自分自身の必要としている場を営み、営み続けることが、暮らしていくことと緩やかに結びついてきたのかも。

場を営み続けていくことと暮らしていくことは、本来、切り離しようのないもの。その事実に、たくさんの人たちのいろんな思いを知っていくうち、ようやく気づいたと言ってもいいかもしれません。

つくづく、ご縁っておもしろいなあと感じる年末でもありました。

2025年の予定

来年は己の欲望に、より忠実に。「小さなもの」を集める活動を続けていきたいと思っています。

紙本祭7は例年通り、2025年の11月に開催予定!

出店者さんの募集開始は来年頭になるはず。続報はWEBサイトや各SNSでご確認ください。

また紙本祭7では、イベント内プチオンリー企画の募集ができないかしらと計画中。これはまさに、小さなものを集めたい、という主催の欲望が忠実に表れた考えです。うまくいくといいな。

『おまねきvol.4』2025年も作品を募集します

次回より『おまねき』は、アンソロジーではなく文芸誌を名乗ろうと思っています。というのも先述の通り、おまねきには選者がいません。vol.1からずっと、載せるべき作品を招文堂が選ぶのではなく、お招きに応じてくれた方をお迎えする形式をとっています。その形式に、より沿った言葉を使ってゆきたいと思った次第。

完全公募制の文芸誌『おまねき』を、来年もよろしくお願いいたします。作品募集はこれまた来年頭に開始する予定ですので、続報はWEBサイトや各SNSでご確認くださいね。

文芸同人誌のシェア型本屋・招文堂。店主さん募集中

自著専門のひと箱本屋を営む店主さん、まだまだ募集しています!

文芸同人誌が1冊でもあれば、棚を開いて頂けます。お申し込みとお問い合わせは、いつでもお気軽に。

おわりに

以上、やまおり亭の、2024年の振り返りでした。

素敵な企画を立ててくださったウォンバットやしろ様、改めて、ありがとうございました!

ようやく自分の担当日が終わったので、やまおりはこれからお茶でも飲みつつ、ゆったりと他の参加者さんたちの記事を読むことにいたします。たのしみ~!

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