小説投稿サイト・カクヨムで約3年半前に連載開始、2023年3月に完結した『贖いのオリキュレール』(略称:あがおり)。
全109話、約45万文字の読み応えある「あがおり」。ふとしたきっかけで読み始めたはずがいつの間にか夢中になっていた。
どうやってこんな長い時間をかけてお話を破綻させずに執筆できたのか。しかも、各話の終わりには続きが気になる展開が仕込まれている…!
「一体どんな人がどうやって書いているのか気になって…」と、作者・ひゐさんへのインタビュー企画を持ち込んでくださったのは、招文堂に棚を持つ山本Q太郎さん。
企画を快諾くださったひゐさんのご協力により、
- 長いお話を書きたいけどまだ書けていない人
- 長い小説を書きたいけどどうしたらいいかわからない人
には必読の本記事をお届けできることになりました!
メールで行ったインタビューを、対話形式に書き起こしてお届けします。
また軽微なネタバレが含まれますので、気になる方はご注意を!
『贖いのオリキュレール』とは
『贖いのオリキュレール』/作・ひゐ(宵々屋)
魔法の存在する世界を舞台に、満身創痍の若い魔術師による過酷な旅を描いたダークファンタジー。
非力な少年魔術師が強大な相手に傷つきながらも決して諦めず立ち向かう姿に、ハラハラしながらも引き込まれます。
共に戦う仲間や、事情をかかえた敵魔術師など、魅力的なキャラクターと一緒にファンタジー世界を旅している気持ちになれるのもこの作品の魅力の一つ。
全109話/総文字数約45万字をもって完結したこの長編小説は、同人誌版が第一巻から第三巻(第七章 霖雨の花畑まで)刊行中。
同人誌版は東京・吉祥寺の招文堂、もしくは通販にて購入可能です。
2023年現在、カクヨムを始めとした小説投稿サイトにて全文公開されています。
はじまり、はじまり
まずは作者・ひゐさんのご紹介。
ひゐ
招文堂にて〈宵々屋〉という棚を持つ、文芸同人誌の作者さん。ファンタジーや童話風おとぎ話を中心に、60作以上の小説を手掛けている。
インタビュアーは、同じく招文堂に〈LaLaLa Books〉という棚を持つ山本Q太郎。
普段は不条理劇やSF、ホラー小説などを書いています。
そして司会は文芸同人誌特化のシェア型本屋・招文堂。
店では棚ごとに異なる文芸同人誌の作者・発行団体さんが、自著専門の〈ひと棚本屋〉を営んでいます。
ひゐさん、今日はよろしくお願いします
こちらこそ、よろしくお願いします!
書きたくないことは書かない、やりたくないことはやらない
山本は2022年11月の文学フリマ東京で買った『贖いのオリキュレール』を、2023年の2月くらいにようやく読みまして、読み始めたら止まらなくなってそのままカクヨムで続きを読み始めました。
時間があるときに纏めて読み進め、7章くらいに入った頃、ついに完結のお知らせが出たときは少し寂しい気持ちに…。
気持ちを揺さぶられながら読む中、序盤に出てきた登場人物と物語半ばくらいで偶然に再開(出てきた時は驚きでテンションが上がりました)するなど、長く連載する上で読者を飽きさせない仕掛けや、一話ごとに読ませる工夫も随所に感じました。
そんな豊かながらも技術を感じる作品〈あがおり〉の作者・ひゐさんに、今回は同じ物語の作り手として、いろいろとお聞きできればと思います。
ひゐさんは、いつ頃からお話を書いてますか?
創作で小説を書く、ということ自体は中学生の頃からやっていました。
ただ本格的に「小説を書く」ということは、高校で文芸部に入ってからだと思います。
そう考えると、十年以上は小説を書いてることになりますね。
何を目的にお話をつくることが多いんでしょう?
たとえば同人誌を作りたいから、コンテストに出したいから、はたまたアイデアが浮かんだから……とか。
自分の好きな設定や物語ができたら、それを形にしたくて書く……ということが多いですかね。
好きを詰め込んでるんですね!
好きなことなので、それで活躍できたら嬉しいと思い、コンテストや公募に出すために小説を書くことも多いです。
お話を書く上で、表現したいことや気をつけていることはありますか?
気をつけていること、とは少し違うかもしれませんが……
まず自分が書きたいと思うものを優先しています。楽しくて書いているので、自分が嫌だなと思うことは無理にやらないように。
これ、個人的にすごく大切なことだと思っていて「作者が嫌々書いた文章」って読み手に伝わりやすいと感じているんですよ。
つまり作者が「つまんないなこれ」って思いながら書くと、つまんない作品が出来上がって、読者も「つまんないなこれ」になってしまう。
だから「書きたくないことは書かない、やりたくないことはやらない」、これを大事にして、自分の好きなこと、いいと思うことを表現するように気をつけています。
なるほど!
翻って、ひゐさんの書きたいもの……創作におけるテーマのようなものはありますか?
実はそんなにありません。しいて言うのなら、自分の好きなもの、いいと思うもの。
……言葉が悪いかもしれませんが、言うなれば「自分の性癖」がテーマかもしれません。
性癖……
『あがおり』には、果たしてどんな性癖が注ぎ込まれているのか……そのあたりも後々、詳しく教えてください!
自分の性癖に素直に書くと、作品って強くなる
ここからは、いよいよ『あがおり』について伺います!
展開やキャラクターについて軽微なネタバレがありますので、ネタバレNGなあなたは先に本編をどうぞ!
ストーリーにも世界観にも様々なアイデアが盛り込まれていましたが、山本さんが特に魅力的だと感じたのはキャラクターたち。
特にメインの3人、パウと事情のある少女と師匠筋の男は、お話が進むたびにそれぞれの過去が明らかになり、エピソードも重なってゆくので読んでいて思い入れも強かったそうです。
同時にキャラクター以外の描写が、意図的に最小限に抑えられていたようにも感じられたそう。それがキャラクターを効果的に「立てる」ことに繋がっていたのかも、とのことですが――
キャラクターに限らず、ですが……まず、今回の作品でやりたかったことはなんですか?
自分では執筆していると情報量が多くて文章が重たくなりがちで、キャラクターもあまり立っているとは言えない、と感じていたので、キャラが立っていると言ってもらえて嬉しいです!
『あがおり』でやりたかったことは、単純に「うちのこ創作を完結させること」ですね。
「うちのこ創作」……すみません、あまり詳しくないのですが、
自分の好きな要素を凝縮したオリジナルキャラクターを作って、性格や来歴を考える遊びという認識で合っていますか?
そんな感じです!
オリジナルのキャラクターを作って、その子はどんな物語を背負っているのか、どんな世界で生きているのかを考えたり、
他の方のオリジナルキャラクターと自分のキャラクターを交流させたり……といった具合ですかね。
もともと『あがおり』のキャラクターは小説の登場人物として考えられたものではなく、キャラクタービジュアルが先にできて設定を付与された「うちのこ創作」でした。
「うちのこ創作」をやったことある方にとってはあるあるだと思うんですが、「うちのこ創作」ってキャラ設定や背景ストーリー、世界観を考えたり、キャラクターのデータをまとめたりするのは楽しいんですよね。
でもそのキャラクターが活躍する「本編」を作るとなると大変だし、キャラクターから妄想した書きたいシーンと書きたいシーンの間を埋めるのも大変で……
うちのこ創作は「本編のない創作」になることもあるんです。「頭の中にあるものを整えて形にする」って、そもそも大変ですしね。
『あがおり』も最初、そんな具合でキャラ設定や背景ストーリーがあって、それを前提に妄想語りする……みたいな形だったのですが、やはりちゃんとした形にしたかったので書き始めたわけです。
『あがおり』はキャラクターを起点に生まれた世界なんだ……そういう作り方もあるんですね。
では次に、今回の作品で力を入れたポイントがあれば教えてください。
ダークファンタジーらしいストーリーや描写でしょうか。絶望的だったり理不尽だったりするシーンを取り入れ、描写もグロテスク寄りなものを意識しました。
さきほど話に出た「うちのこ創作」界隈の、一部の人間あるあるに「かわいそうなうちのこはかわいいね」がありまして、私もそれです。
あっ、性癖ってもしかして……
主人公にがんがん試練を与えてかわいそうにしてしまいました。
思い当たるフシが……!
気を取り直して、特に力を入れたキャラクターや、お気に入りのキャラクターはいますか?
『あがおり』の主人公は「パウ」ですが、パウの師匠であり、ヴィランとして「ベラー」というキャラクターがいます。
ちょっと(ちょっとか?)人間らしくないキャラクターに見えるのですが、作者としてはその「変なところ、他人には理解できない言動」が逆に人間らしいのでは? と思えるキャラでお気に入りです。
作中では「誰にも理解できないだろう」と思われているのがベラーでして、読者にとっても理解できそうでできないかもしれないキャラクターだと思っています。
では、好きなエピソードや、書いていて自分でも上手くいったと感じる部分はありますか?
好きなシーンはたくさんあるのですが、特に好きなのは『第五章:神亡き闇にて』の拷問シーンです。
血は出ないのですが、パウがベラーにグサグサ刺されて弱っていくシーンですね。描写が痛い! と思う方もいたかもしれませんが、作者としてはノリノリで書いていましたし……性癖も詰め込まれたシーンでしたね。
その性癖全開で書いたためか、好き嫌いのわかれるシーンかと思ったのですが、読んでくれた方からも「ここ好き! 最高!」の声がありまして、すごく嬉しかったです。
自分の性癖に素直に書くと、作品って強くなるんですよ……。
いい〈引き〉で作品を記憶してもらう
ひゐさんの性癖が素直に反映された「強い作品」である『あがおり』。
ここからは、長くも魅力的な物語がどうやって生まれたのかについて伺います!
山本さんは、今作から「長い物を書くぞ」という意気込みのようなものを感じられたそう。
「構成や展開は計画的に組まれているように感じられましたし、作品のコンセプトもちゃんと最後まで表現の真ん中にあることを意識されていたように思えます」とのことでしたよね。
はい。なのでここからは、長編執筆についてお聞きしていきます。
長編を書く上で一番大変だったことを教えてください。
この長さ(45万文字)になると、書き終わること自体が難しいことであるように思います。自分なら途中で投げ出してしまうか、つじつまが合わなくなって放り投げてしまいそうです。
やはり「続けること」が大変だったと思います。
投稿頻度は無理のない程度に設定していたので、書けなくて焦る、ということはありませんでした。
それでも週に4000字程度を、物語の前後を考えて、また他人が読める形に書くというのは大変でした。やっていくうちに習慣化していくとはいえ、それでも時間がなかったり、うまくまとめられなくて考える時もありましたので。
上手くまとめられなくなって、投げ出してしまいたくなることはなかったんですか?
そこは対策はしてありまして、物語を書き始める前に全体のあらすじを立ててあったんです。
だから「何を書いたらいいかわからなくなる」「伏線管理が大変になる」といったことはほとんどありませんでしたし、話を変に追加してメインストーリーから脱線・戻すのが難しくなる、ということもありませんでしたね。
とにかく書いてゆけばよいところまで、プロットで下準備がなされていたんですね。計画性を感じる…。
完結させることのほかに、(長編を書く上での)目的や目標などはありましたか?
「書きたいシーンにたどり着く」ことですかね。
物語を考える人って執筆する上で「このシーンを書きたい」「このシーンだけははっきり頭に浮かんでいる」って方が少なくないと思うんです。
私もそうなんですが……シーンが浮かんでも、そこに至るまでを組み立てる・執筆するのが大変なんですよね。
書きたいシーンだけを書くのもアリだと思いますが、そのシーンに至るまでや前提の描写があることで、よりそのシーンが輝いたり、シーンの解像度が上がりますよね。
だから頭の中にあるものを整理して、書きたいシーンにたどり着いてそこを書く、それが目標の一つだったと思います。
あとは単純に「人に読んでもらう」という目標もありました。作品は発表しなければ、誰にも読んでもらえませんからね。
シーンの解像度といえば……本作では主人公が酷い目に遭うこともあり、読んでいて辛い気持ちになるパートもありました。
これは書いている方も大変なのではないかと思ったのですが、ひゐさんとしてはいかがでしょう?
(すでにちょっと予想はついてますけども…)
「かわいそうはかわいいね」の人間なので、
にこにこしながら書いてましたね……。
やっぱり!
さきほど話題になった拷問のシーンもそうですし、その前に主人公パウが精神的に追い詰められて吐く・食事できないシーンなんかも、書きながらにこにこしてましたね。
ただ『あがおり』は主人公がとにかく追い詰められる物語ではなく、それでも立ち上がって進んでいく物語です。
言い換えれば私は「どんなにつらい目にあっても頑張る主人公が好き」なんでしょう。
まさに、先述の「癖(ヘキ)」が存分に発揮されたシーンだったんですね。
山本も、読んでいて辛いと思いながらも読み進めてしまったわけですしね。
長期連載ということもあり、各話各章で続きが気になるよう丁寧に展開が組まれているように感じました。
展開や次への〈引き〉について、ひゐさんが意識されていたことはありますか?
恥ずかしい話ですが、実はそこまで〈引き〉については意識していませんでしたね。
〈引き〉がうまくできていた理由として考えられるのは、恐らく章や章内のシーン(ページ管理)があらかじめできていたからだと思います。
章でいえば、一章はアーゼという(この時点では)「一般人」にあたる登場人物から見たパウやミラーカ、グレゴという怪物の話と決めて、二章はそれを踏まえてのパウの過去の話。
……という具合に「この章ではこの話をする」と決めていました。だから自然と次の章を意識した書き方や終盤になったのかと。
章内のシーン・ページも同じで「この更新分はこれをやる、来週はこれをやる」といった具合にあらかじめプロットを更新分でわけていたので、自然と続きを意識して書けたのだと思います。
丁寧なプロット作りが功を奏していたのか…!
山本さんの例もありますし、やはり長期連載において〈引き〉は大切そうですね。
『あがおり』は長期連載と言っても、章と章の間に数か月お休みを設けて書き続けた作品です。
その間に、読者の方が作品の存在を忘れてしまう可能性もあったと思いますし、実際にあったかもしれません。
それでもリアルタイムで追ってくれる方がいましたので「続きが気になる書き方」はやはり大切だと思います。
「読書」って「享受」の一種だと思いますが「ここから先どうなるんだろう」と自身で考えると、それって享受するより記憶に残るものになるんだと思います。
だからいい〈引き〉で先のことを考えてもらって記憶しておいてもらうと、連載再開した時にまた読み進めてもらえる……のかな、と思います。
連載再開時にまた読者の方に会えると、作家としてもすごく安心しますしモチベーションも上がります。
いい〈引き〉は読者の方にわくわくしてもらうだけでなく、作家にもいい効果があるんでしょう。
いい〈引き〉は作家にもいい効果がある!
いい言葉だ…。
その他に、長期長編連載を行う上で気をつけていたことはありますか?
「焦らない」「無理しない」「未熟でもいい」
このあたりです。
それぞれ詳しくお願いします!
「焦らない」については、特にweb上での評価の面についての話です。
例えば、いい作者がいい作品を書けたと思っても、PVが伸びなかったり、評価されなかったり、ランキング順位も芳しくないといったことがあります。すると「どうして」と焦ってしまうと思うんです。
しかし『あがおり』は大長編になる予定の作品でしたので、気長にやっていこうと考えました。
誰かに読んでもらいたいという気持ちもありますが、そもそも「好きだから・やりたいから」で書いていた作品です。だからそういった数値を見ても焦らないようにしました。
「無理をしない」もPVや評価の話と繋がっています。
今の時代、web小説で多くの人に読んでもらう手段の一つに「毎日更新」というものがありますが、私はこれをしませんでした。無理なんですもん。
多分、毎日更新にこだわると執筆の楽しさを忘れる。そう思いました。
作品を公開すると、どうしてもウケや評価が気になってしまいますが「物語を作るのが好き」という気持ちを忘れないために、無理なことは選びませんでした。
作品を書いている途中で「今わたしは何故こんな苦行を?」って気持ちになること、ときどきあります……これは大事なことですね。
最後に「未熟でもいい」という話。
もちろん、作品を公開する際は、その時点でできる最高のパフォーマンスで作品を執筆・公開しています。ただ後になると拙さや未熟さに気付くことがあります。
すると、次の更新は完璧に、と考えがちだと思いますが、ここを大袈裟に考えすぎないようにしました。
目的は物語を進行させること・完結させることなのです。完璧にこだわると何もできなくなりますから、それを忘れないようにしました。
なるほど…。
ここまで聞いていて、ひゐさんはカチッと計画を立てて進めるところと、おおらかさの塩梅がすごくいいんだな~と感じました!
焦らず、無理せず、未熟な自分を許してゆこうと。
読者からのおたより
ここからはTwitter上で募集しました、〈あがおりファン〉からのおたよりをご紹介します!
P.N.藍沢紗夜さん からのおたより
あがおり完結おめでとうございます!
質問なのですが、長編執筆と他の作品の執筆の両立はどのようにされていますか? いつも複数作品を同時進行で製作されていてすごいな、と思っています。
ありがとうございます!
『あがおり』は週一更新だったので、他の作品との同時連載ができたんだと思います。「無理しない」のおかげですね。
あと私は週単位で執筆スケジュールを管理してるんです。月曜日はこの作品のプロットを、火曜日は別の作品の本文を。
……といった具合に、複数の作品を同時に執筆していました。息抜き的に別の作品を書いていることもあります。
ちなみに、長編作品を同時連載している場合、片方はおそらくすでに裏で完結している「ストックがある状態」の作品である場合が多いです。これは公募に出して戻って来た作品だったりします。
webで公開する小説を書く裏で、数か月かけて公募作品を完成させていたりします。
この計画性が「無理しない」を支えているのかも。
P.N.Wkumoさん からのおたより
あがおりの大ファンです。ひゐさんの作品、あがおりは、リアリティ溢れる人間描写が素晴らしいのは周知の事実でありますが、まるで現実世界にそのままいるようなキャラクターたちばかり出てきます。
ひゐさんのリアリティ溢れるキャラクター造形能力は、いったいどのような研鑽または経験のもとに作り上げられているのでしょうか? それが一番気になります。
ちなみに私はあがおり登場キャラクターでは、主人公パウくんのお師匠さんのベラーさんが一番好きです。美しく、妖しく、かっこよくてとても強いですからね……! 本当に……!!!!
ベラー、私もお気に入りのキャラです! 書いていて一番楽しいキャラだったかもしれません。
キャラクターづくりについてですが、まずそのキャラクターの信念や目的が大切だと思っています。それから「こういうことがあったら、こうする」ということもいくらか考えてありまして……あとは書く、それだけです。
作家っていろんな種類がいると思うんですがキャラクター形成において、私の場合は「自然とキャラが動き出すタイプ」の作家でして。
だから物語を書くとキャラが自然に動いて、解像度が上がってくるのだと思います。
どうしてキャラが勝手に動き出すようになったのかは、ごめんなさい、わからないです。
ただ私が小説を書く場合、(『あがおり』以外は)キャラクターがいて物語があるパターンではなく、物語があってキャラクターができあがってくることが多いので、ストーリーがキャラクターを動かしてくれているのだと思います。
この場合、キャラクターが物語にとって都合のいい存在になってしまったり、装置になってしまうこともあるのでそこを気をつけています。
きっとそれの防止に「キャラクターの信念や目的」が作用するのだと思います。
自分が無意識のうちにやっていることって、意外と言語化が難しかったりしますよね。
キャラクターが無意識に持っている信念や目的をひゐさんがしっかり言語化してあげているから、書いているうちにキャラクターが生き生きと動き出すのかも……?
皆様、熱いおたよりをありがとうございました!
今後について
『あがおり』は完結しましたが……にもかかわらず、すでに別連載や短編のWEB掲載が進んでおり驚きです!
ここからは、ひゐさんの執筆のモチベーションや、今後の活動についてをお聞かせいただければと思います。
執筆活動において、今後の目標や課題などはありますか?
基本的に「よりよい作品を書きたい」と思っていますので、自分にとって「よりよい作品」について研究して形にすることが今後の目標ですね。
「よりよい作品」というのは、例えば自分の「好き」をいま以上に素敵な形にしたり、読者の方にも「好き」と思ってもらえる作品のことで、「好き」を極めた作品と言ってもいいかもしれません。
今やっていることや、これからやろうと思ってることはありますか?
さっきの質問の続きみたいになるのですが、よりよい作品を書くために、ロジックや技法を学ぶために指南書を読んだり、新たな好きに出会うために本を読んだりしつつ、新しい作品を書いていく予定です。
コンテストなどにも積極的に挑戦して腕試ししていく予定ですよ。
ひゐさんの作品が読める場所を教えてください!
オンライン・オフラインの両方で活動しています。
オンラインではカクヨムをはじめとしたweb小説投稿サイトで作品を公開しています。
紙媒体でも作品を出していまして、これは同人誌ですね。
『あがおり』も同人誌版を出していますよ。同人イベントは東京のものによくサークル参加していまして、コミティアや文フリに出ています。
ひゐさんの活動に関する情報は、今後どこでチェックできますか?
HPもありますが、一番早く細かく活動情報を出しているのはツイッターですね。
更新や宣伝がメインのアカウントでして、日常的なことや感じたこと考えたことの呟きもありますが、フォローして追っていただけるとありがたいです!
@yoiyoi_utopia
https://twitter.com/yoiyoi_utopia
さいごに
『あがおり』と同じく、大長編なインタビューになってしまいました。
ひゐさん、山本さん、ここまでありがとうございました!
ありがとうございます!
最後にもういちど、ひゐさんの情報を一覧でお願いします。
チャンネルが多くて素晴らしい! みなさま、気になるところからぜひチェックしてみてください。
この記事で『贖いのオリキュレール』が気になったあなた、WEB版はここから全109話を読むことができます!
もうちょっと短いのが読みたいな……というあなたには『夜空の瓶詰』、どうでしょう? さらりと読めて、ひゐさん世界をしっかり堪能できる。招文堂の個人的なオススメです!
美しい表紙でキャラクタービジュアルも楽しめる同人誌版『あがおり』は、招文堂の店頭、および通販サイトにてお買い求めいただけますよ!